コンプライアンスとは、社会の要請に応えることです。社会の要請に応えるとは、社会から見て非常識な対応、社会の規範に反する事業活動を排除することです。本日は、常識を疑ってみることについて、考えてみます。
社会から見て非常識な対応は、自社内でも非常識とみなされるのが一般的です。しかし、企業には、より上位者の考え方を常識とする風土があり、上司者の承認が得られれば、正義と判断する制度があります。これは、上司者には逆らうべきでない、正しいプロセスを経ていれば間違いではないという考え方に基づいています。
ここには、社会から見ると非常識か否かという観点が漏れています。しかし、実務においては、そんな観点に気づかず、ストーリーの一部が正しければ、全てが是であると説き伏せることもあります。
この対策としては、自社の業務プロセスの中にある社内向けの考え方の方程式を探し出し、社会から見ると非常識とみなされるとすれば、どういう観点かを検証することが有効です。自社の業務プロセスの中に、判断基準として社会の非常識を追加することも考えられますが、判断が形骸化することが目に見えています。
自社の常識を疑ってみるというのは、オーナー経営者、取締役、管理職も同じです。自分の判断は結果として正しいという考え方は、オールドスタイルになりつつあります。経営判断には、弁護士などの第三者の意見を求めるというのも、費用対効果を考えると現実的ではないかも知れません。社外取締役に意見を求めるというのであれば、スピード感に劣るものの、有効なプロセスと思われます。
それだけ、自社を疑うというのは難しいことです。報道を見てから、「なんで当社が・・・」と言う事態に陥らない為には、何もない時に、何か起こらないかを確認したり、プロセスの見直しを行うことが、何より大切です。
今時、営業成績第一を掲げる管理職はいないと思いますが、営業と品質を分けて話す管理職は、どちらかに優先順位を付けたり、本音と建て前を使い分けたりする人は、要注意です。マネジメント研修のテーマとして、意見交換しながら管理職の考え方を同じ方向へ修正し、表裏のない経営陣や管理職を育成することで、自社の常識を疑うという考え方が浸透すると思われます。



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