代理店が評価制度で疲弊しない為に

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今年度、保険会社各社が初めて導入する「品質評価制度」。手数料体系とも密接に結びつくため、代理店にとっては避けて通れない重要な制度です。しかし、現実は、専属代理店ですら対応に苦労し、疲弊している という声が聞こえてきます。ましてや複数社を扱う乗合代理店にとっては、各社の要求をすべて網羅しようとすると、現場が持たないのは当然です。本日は、評価制度をどう捉え、代理店として何から取り組むべきかについて整理してみたいと思います。

1.専属代理店ですら疲弊する「項目の多さ」
今年度の品質評価制度は、初年度ゆえに項目が過剰になりがちです。
顧客対応、アフターフォロー、個人情報保護、ガバナンスの必須項目に加え、便宜供与、利益相反管理という追加項目、誠実公正義務、比較推奨販売義務、独占禁止法遵守という重点項目が並びます。
ここまではまだ理解できますが、問題はその先です。「業務品質の高度化に資する項目」――この部分が、各社バラバラに設定されており、項目数が一気に膨れ上がります。専属代理店ですら「多すぎて対応しきれない」と感じるほどの量ですから、乗合代理店が「全社分の要求レベルを満たす」ことが現実的でないのは明らかです。

2.ここまで項目が増える理由
背景には、いくつかの構造的な理由があります。
① 行政の監督強化
金融庁が「顧客本位の業務運営」を強く求めているため、各社が品質管理を強化している姿勢を示す必要がある。
② 各社のリスク管理の強化
不適切販売や苦情対応の強化が求められ、「代理店の品質を見える化したい」という意図がある。
③ 初年度ゆえの「盛り込みすぎ」
制度が固まっていないため、「とりあえず全部入れておこう」という傾向が強い。
こうした背景が重なり、項目数が過剰に増え、現場が疲弊する構造が生まれています。

3.全部対応しようとすると、むしろ品質を下げる
項目が多過ぎると、現場は迷います。
 〇 何を優先すべきか分からない
 〇 ルールが複雑すぎて守れない
 〇 言動の形骸化が進む
 〇 やらされ感が増える
 〇 本来の目的(顧客保護)が見えなくなる
これは、繰り返し述べてきた「基準が揃っていない組織は迷いが増える」という典型例です。つまり、全部やることは品質向上ではなく、品質崩壊の始まりなのです。

4.では、何から始めるべきか
その答えは「品質の統一化」です。ここが本日の核心です。
① まずは「代理店としての品質基準」を統一する
各社の要求をそのまま並べるのではなく、代理店としての“共通基準”をつくります。
顧客対応、アフターフォロー、個人情報保護、ガバナンス、誠実公正義務、比較推奨販売、利益相反管理、独禁法遵守の各項目は、どの保険会社にも共通する土台です。まずはここを揃えることが最優先です。
② 各社の差分だけを追加対応する
高度化項目は各社バラバラなので、共通部分以外は差分管理にします。これにより、全体の負荷が激減し、現場の迷いが減り、品質が安定し、結果として保険会社の求めるレベルに自然と近づくという好循環が生まれます。
③ 「品質の統一化」は、結果的に業務品質の向上に直結する
保険会社が本当に求めているのは、「代理店としての品質が揃っていること」です。これまで本ブログでお伝えしてきた「基準の統一」「仕組み化」「迷いを減らす」というアプローチは、保険会社が求める方向性と完全に一致しています。つまり、品質の統一化こそが、最も効率的で、最も本質的な業務品質の向上策なのです。

<まとめ>
品質評価制度は今年度が初年度で、項目が過剰になりがちです。専属代理店ですら疲弊するほどの量であり、乗合代理店が全部対応するのは不可能です。そこで、まずは「代理店としての品質基準」を統一することを優先することが最適解です。その上で、各社の差分だけを追加対応することで足ります。このアプローチこそが、最も効率的で、最も本質的な品質向上につながることになります。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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