差分管理の実務

people making a plan on a board

評価制度の導入により、代理店には「共通基準を整える」ことが求められています。しかし、実際に現場で制度を運用しようとすると、必ずと言っていいほど差分が生じます。この差分をどう扱うかが、評価制度対応の成否を大きく左右します。本日は、差分の正体と、その管理方法を整理してみます。

1.差分とは理解度の差
差分とは、品質のバラつきを指す言葉では、ありません。差分は、次のような 理解のズレ を意味します。
 〇 高度化項目の意味の捉え方
 〇 ルールの理解の深さ
 〇 実務への落とし込み方
 〇 記録レベルの認識
 〇 目的の理解度
つまり、差分とは高度化項目やルールに対する理解度の差が実務に現れたものと整理すると理解が深まると思われます。

2.理解度の差は、組織が大きいほど生じやすい
理解度の差は、どの代理店にも存在します。しかし、その差が大きくなりやすいのは、人員数や拠点数が多い、管理者が多い、情報共有のスピードにムラがある、担当者ごとに扱う商品や顧客層が異なるなどの構造を持つ組織です。したがって組織が大きくなるほど、同じ情報を受け取っても、理解の深さや捉え方に差が出やすいという構造的な特徴があります。

3.乗合代理店は、理解度の差が増幅されやすい
乗合代理店の場合、上記に加えてもう一つの要因が加わります。それは、複数の保険会社の高度化項目や独自ルールが存在することです。A社の高度化項目、B社の重点項目、C社の独自ルールがそれぞれ異なるとすれば、想像しやすいと思います。これらの会社間の違いが、募集人ごとの理解度の差をさらに広げてしまう可能性があります。つまり、外部要因(会社間の違い)が、内部要因(理解度の差)を増幅されやすいのです。

4.差分管理の目的は理解の統一
差分管理とは、理解度の差を最小化し、現場の認識を揃えるための実務です。なぜ理解の統一が必要なのかと言えば、評価制度の項目は「理解の深さ」によって実務の質が大きく変わるからです。同じ項目を読んでも、目指す姿として捉える人、必達レベルとして捉える人、評価制度のための作業として捉える人では、実務の深さがまったく異なります。この理解のズレこそが差分の正体であり、品質の統一化を阻害する最大の要因です。したがって差分管理の目的は、全員が同じ基準で、同じ方向を向いて動ける状態をつくることです。そのために必要なのは、次の3つのステップです。
① 共通基準を土台として示す
共通基準は、何を、どのレベルで、どう守るのかを明確にした、代理店としての品質の軸です。この土台があることで、 高度化項目は追加部分として整理できます。
② 高度化項目を追加説明として扱う
高度化項目は、共通基準の上に乗るプラスアルファです。まず共通基準を揃え、次に高度化項目を追加説明するという順番で伝えることで、理解のズレを最小化できます。
③ 理解度の差が出やすい項目を特定し、重点的に説明する
理解度の差が生まれやすいのは、次のような項目です。
 〇 目的が抽象的な項目
 〇 記録レベルが曖昧な項目
 〇 目指す姿なのか、必達レベルなのかの判断が難しい項目
これらは、特に丁寧に説明し、「どう捉えるべきか」を明確にする必要があります。

5.差分管理は、仕組みで回す
理解度の差は、放置すると必ず広がります。そのため、差分管理は仕組みとして回す必要があります。
 〇 共通基準と高度化項目の一覧化
 〇 拠点・担当者ごとの理解度の可視化
 〇 情報共有の一本化
 〇 更新しやすい資料の整備
 〇 定期的な研修・振り返り
これらを仕組みとして整えることで、 理解度の差を最小限に抑えることができます。管理者が多い代理店では、管理者の理解度を揃えることがスタートになります。

<まとめ>
差分管理とは、理解度の差を最小化する実務です。
 〇 差分の本質は理解度の差
 〇 組織が大きいほど理解の差が生まれやすい
 〇 乗合代理店はに各保険会社の項目や独自ルールにより差が増幅される
 〇 共通基準があるから、差分管理が可能になる
 〇 差分管理の目的は理解の統一
評価制度対応は、複雑に見えて、実は「理解を揃える」という一点に集約されます。次の機会には、差分管理を現場で確実に回すための「現場が迷わない仕組みづくり」について整理しようと思います。本日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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