会社員時代に、「なぜ、説明や発信の意図や趣旨が伝わらないのか」と悩んだ経験がありました。自分の頭の中で整理したつもりで伝えても、受け手とっては初めての情報であり、背景や目的が見えにくいことが多いようです。そもそも、発信者と受け手では、持っている情報量に大きな差があり、その影響で理解にズレが生じていると思われます。
<情報量の差が理解を妨げる>
説明や発信を行う立場の人には、全体方針や外部環境の変化を日常的に把握していますが、受け手は必ずしもその情報を持っているとは限りません。そのため、発信者が「当然理解しているだろう」と思って伝えても、受け手には「なぜこの情報が必要なのか」が見えないのです。
<伝えるべきポイントを整理する>
受け手に伝えたい情報の趣旨を理解してもらうためには、次のような要素を短時間で的確に伝えることが重要です。
〇 なぜこの話をするのか(背景・目的)
〇 目指す姿は何か(ゴールイメージ)
〇 いつ、何を求めているのか(具体的な行動等)
〇 どのように考えて進めて欲しいのか(方向性)
〇 どういう時、立ち止まって相談して欲しいのか(異常値発生の目安と対応)
これらを明確にすることで、情報の受け手は「自分に求められていること」を理解しやすくなります。
<経営トップとしてのメッセージ発信>
経営トップが社内メンバーにメッセージを発信する際も同様です。抽象的な理念だけではなく、「なぜ今この話をするのか」「具体的にどう行動して欲しいのか」を示すことで、組織全体の方向性が揃い、受け手の頭が受け入れやすくなります。
<具体的なシーン例>
〇 会議などで口頭で伝える場面
背景を一言で示す:「市場環境が変化しています」
目的を短く伝える:「顧客対応を改善する必要があります」
行動を具体的に依頼する:「来週までに改善案を3つ出してください」
このように「背景→目的→行動」の流れで話すと、受け手は理解しやすくなります。さらに「ここまでで、質問はありますか?」と確認を促すことで、双方向性が生まれます。
〇 通知書面やメール等で活字で伝える場面
冒頭で背景を簡潔に記載:「最近、お客様から説明が分かりにくいという声が寄せられています。」
〇 目的を明示:「そこで、説明方法の改善を進めることにしました。」
〇 具体的な依頼事項を箇条書きで示す:
専門用語を使わずに説明すること
今週の面談で試してみること
結果を来週の会議で報告すること
書面では「要点を箇条書きにする」「期限を明示する」ことで、受け手が読み返しやすくなり、理解と行動につながります。
<まとめ>
情報の受け手が、伝えたい趣旨を理解できないのは、能力の問題ではなく、情報量の差と伝え方の問題です。だからこそ、発信者は「背景・目的・行動・方向性・異常値対応」を短時間で的確に伝えることが求められます。2026年を迎えるにあたり、経営者や管理職など情報発信者になる方々は、この「伝え方」を見直す機会にしては、いかがでしょうか。受け手が腹落ちして、組織全体が同じ方向に進むための一助となるはずです。伝え方を見直すことは、組織の信頼性を高める第一歩です。



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