退職が止まらない理由

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独立行政法人の医療センターにて、看護師の大量退職が起きて、医療現場が危機に陥っているとの報道がありました。背景には、コロナ専用病棟への切替に伴う労働環境変化に加え、慢性的な人手不足が重なったそうです。更に調査した結果、そもそもの労働管理体制に問題があり、労働基準法違反の疑いが発覚しました。本日は、企業において、退職者が続いた場合の対応について、考えてみます。

退職者が想定外に続いた場合、経営者は、管理職に対し、退職理由と退職を至った経緯の調査、ならびに報告を命じます。管理職が、退職した従業員や他のメンバーへヒアリングした結果、一般的な理由が報告されます。家庭の事情、体調不良、他社からの引き抜きなどです。

この場合、コンプライアンス経営の基本的な考え方である「常に最悪の結果を想定して考える」と良いと思います。社会規範に反した行為がなかったか、社内規程と異なる運用実態がないか、法令違反に抵触する商習慣などがないかの順に、調査を指示しては、いかがでしょうか。

その際、良くない事実やその兆候があれば、結果を恐れずに、そのまま至急報告するよう指示します。経営者が最終責任は取ると説明し、心理的な安定性を与えて調査環境を整えることが、何より大切です。なぜなら、パワハラや残業代未払いなどがあれば、自らの過ちは報告しないからです。

結果に問題なしの場合、別部署の管理職に経緯を説明し、数名の非管理職に調査を依頼させます。その際、経営者として危機感を感じるので、調査と改善取組みに協力を依頼し、特命業務とすることが望ましいです。経営者の腹の括り具合が伝わらないと、正しい実態は把握できないと考えてください。

このようなことを経営者が命じなければならないのは、仮に、SNSや報道が先に真実を伝えた場合に、企業理念を失うような事象が起こるからです。掘り下げてみるべき事象として、経営者が課題認識を持つことがポイントです。社員アンケートにより、直接調査する手法もありますが、次の機会にします。

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