名門大学のスポーツ部合宿所から大麻と覚せい剤が見つかったと、報道されました。保護者と名乗る方から通報があり、調査した結果、疑わしい植物片と錠剤を発見し、警視庁へ連絡。本日は、非常事態発生時の組織の対応について、考えてみます。
保護者と名乗る方から、合宿所で大麻があると通報があった。まず、何を連想するかにより、組織の対応が異なってきます。正解は、大麻=違法薬物=逮捕と連想すべきです。ポイントは、最悪の事態を想定することです。
今回の組織は、通報者が保護者か否かの確認、大麻がある訳がない、学生を疑う訳にはいかないと連想してしまい、その後の対応が遅れ、組織のトップの認識や、情報管理態勢が適切に行われなかった可能性を疑われました。
最悪の事態を想定すれば、真偽が判明するまでは、組織のトップと経営・広報・内部統制・監査などの部署に情報管理を限定し、可能であれば、メールグループやLINEグループを作ります。連絡網です。そのうえで、関係部署による情報共有会議を行い、最悪のシナリオを想定して行動する旨を宣言します。
最悪のシナリオとは、合宿所で生活している学生やコーチなどの一部に、大麻が蔓延していて、警察の捜索の結果、複数名の逮捕者が出ることです。この時点では、その結果、当該スポーツ部の活動停止や監督者の処分などの二次災害は、考えてはいけません。考えてしまうと、最悪のシナリオを避ける、もしくは、罪を軽く見せるなどの行動を関係者が起こしてしまい、立場が変わってしまうからです。
最悪のシナリオに進む前提だと、いかに早く警察や司直の手に調査を委ねるかが大切なことと分かります。また、関係者以外に情報統制ができないと、外部からの圧力があり、適正で迅速な決断ができない事態に陥ります。
今回の場合、大学側が合宿所のメンバーに対して、いくらヒアリングや尋問を行っても、動機や真相が分かるはずもありません。それより、更にひどい犯罪があることを隠したり、集団隠ぺいに発展させる動機を与えてしまうかも知れません。最悪の事態を想定して活動する訓練こそ、コンプライアンス経営の基本動作かも知れません。
こうした事態が起こると、大麻の所持や覚せい剤の使用は、違法行為なので、一度でも手を染めてしまうと元へ戻れなくなるので、絶対に禁止である旨を研修などを通じて指導します。しかし、それほど的を得た研修指導ではないように思います。
研修では、違法行為、規則違反、社会から非難を受ける行為を行うと、必ず見つかり、その結果、自身の人生が大ピンチになるだけでなく、家族が報道から追い回されるなど二次災害もある。所属している組織では、同様の行為がないか調査が必要となり、被害者がいる場合は、損害賠償など司法手続きも必要になる。その間、SNSでは、必要以上に情報が拡散して、社会の信頼を失うことになる。その信頼の回復には、数年の時間を要する。
自分では、この程度なら構わない、1回だけならと考えること自体が、要注意の始まりであることを肝に銘じて、「社会に対して、良い人」ことを心がけ、社会からの批判を受けない立ち振る舞いを求められていることを指導することが、適切ではないかと思う次第です。



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