いざと言う時に必要な知識

group of coworkers on a board room

大学スポーツ部に所属する学生が、大麻を保有・使用し、学生寮内に蔓延していた事件において、第三者委員会の報告書が公表されました。本日は、企業や団体において、いざと言う時に必要な知識について、考えてみます。

何か大きな事件が起きたとします。大きな事件ですから、法令違反、役所の認可や社内外における規定に反する行為、家族に聞かせられない後ろめたい事象などが起こったに違いありません。この時点で、企業や団体は、社会に対して信頼を失う行為をしています。それゆえ、信頼を失うことは、避けられません。

信頼を失うことが避けられないことに気付くことが、企業や団体が、その後の対応に誤りを起こさないことに繋がります。このことに気付かないと、何とかして穏便に済ませたい、大事件にはしたくない、顧客の信頼を失うまいなどと、不可能なことばかり考えてしまいます。その結果、警察への報告が遅れたり、危機管理責任者をトップとした不祥事対応ができないなどの新たな事象が起こります。挙句の果てに、報道や第三者委員会から「ガバナンスがない」などと評価を受けることになります。

逆に、信頼を失う事象が起こったと腹をくくってしまえば、自ずとすべきことは、決まってきます。新たな活動はフリーズ、危機管理責任者へ情報を集約、止血と被害者への真摯な対応、ニュースリリースや会見の要否判断、社外にいる利益相反しない人へ相談などです。

今回の事件で例えると、当該スポーツ部の活動停止、寮生へのヒアリング、保護者への初期報告、どのタイミングで報告し、自首を断念すべきかなどの警察署への相談などでしょう。警察署へ事前に相談していれば、大麻が出てきたら速やかに警察へ提出することもできたと思われます。

こうした基本動作が、なぜできないのか?それは、管理職は皆、自分の職責の範囲内で判断しようとしたり、収めようとする意識が働くからです。経営トップは、初報連絡を受けたら、管理職に対して、フリーズを宣言し、大事件で顧客の信頼を失う事態であり今後は対応は危機管理責任者を中心に行う、誤った言動や行為があれば二次災害に繋がり、レピュテーションリスクに発展すると宣言します。そうすることで、自分の職責の範囲内では収まらないことが伝わり、自身だけで判断しなくなります。

いざと言う時に必要な知識とは「平時の指示命令系統から危機管理態勢へ移行する」ことです。危機管理責任者が事実上のトップとなり、組織体制が変わることを知らしめることです。

コメント