企業の保険代理店は、企業グループや従業員、関係会社などを顧客とする機関代理店です。最近、収益規模の拡大に期待できないことを理由に、代理店を事業売却する動きがあるようです。本日は、企業代理店の営業改革について、考えてみます。
グループと関連会社を契約者とする法人契約の拡大が見込めず、従業員契約の拡大が見込めないのが、売却理由と伺っています。昨今の新規事業は、立ち上げ直後に成果を出す事業が好かれる傾向にありますから、安定的な数%増収は、継続には値しないと考えたのでしょう。
グループ関連会社と位置付けるならば、上記判断も納得できます。しかし、企業グループのリスクマネジメントを外部の眼で監査し、問題提起や提案ができる機能と位置付けるならば、全く異なる判断になります。
その為には、代理店の役職員が、プロ仕様に変革する必要があります。全保険商品のスペシャリストが理想ですが、幾つかのカテゴリーに分類し、各カテゴリーのスペシャリストを要すれば、事業価値は高まります。改めて保険事業の位置付けを理解し、プロ仕様に必要な能力を習得することに、注力すべきと思います。
また、法人には次々と新たなリスクが生まれているので、拡大要素があります。その為には、保険で補償が可能な範囲を見つける能力が必要です。保険会社の知恵を拝借しつつ、グループ会社の担当役員に対し、リスクに対する問題提起を行い、マネジメントの見直し提案を定期的に行うことに尽きます。サイバー保険や地震拡張担保など、回避、軽減が不向きなリスクなら、保険によるリスク移転が、最有力の選択肢になるはずです。
従業員契約は、退職者へのアプローチを変えれば、拡大要素になります。65歳以上が30%を超過し、増加傾向が続きます。早期退職者やシニアに対する金融商品の提案と生命保険の見直しは、ニーズに合致しています。団体割引メリットと、会社の関与がないことも、顧客側にはメリットです。
また、福利厚生制度の充実を提案することも、拡大要素です。新卒採用は年々激戦にです。初任給を上げても効果が少ない為、福利厚生制度の充実も訴求ポイントです。きっかけ作りを機関代理店が担うことで、保険販売のノウハウの幅も拡がります。
実は、改革の基礎は、コンプライアンスの取組みから始まります。コンプライアンスは、社会の要請に応えることです。募集活動の見直しや仕組み作りの取組みにおいて、お客様の人生や事業活動に触れて、機関代理店としてお客様の要請・ニーズに応えることができないかを考えることが、改革の糸口となります。
経営トップが、改革の趣旨に共感し、目的、背景、手段や取組みの趣旨などを自らの言葉で説明し、役員や管理職の共感を得ることから始めます。改革チームを立ち上げ営業担当者を抜擢することで、気分も良くなります。従業員が活躍できるステージを提供することにも繋がっていくでしょう。



コメント