自動車メーカーによる品質不正事件は、監督官庁が立ち入り検査を開始しました。報道によると、車両の側面衝突実験など安全性に関わる試験で174件の不正行為があり、既に生産を終了したものも含めると、対象は64車種に上るそうです。本日は、この件について、考えてみます。
当該企業は、立ち入り検査の結果を踏まえつつ、自社において発生原因を分析し、真因に迫ったうえで、その要因を排除、軽減、移転するための対策を検討しなければ、なりません。
型式の認証に関する不正行為は、自動車産業の根幹を揺るがす行為です。認証を取得するには、安全性、耐久性など多数の項目をクリアし、提示している数値に見合う性能や安全性が求められます。それが、全くの偽物だった訳ですから、事は重大です。
真因が、開発期限に関する過度な圧力にあったのなら、それを排除できるか、偽りを起こさないまでに軽減できるか、開発期限という考え方自体を他の考え方に移転できるかという観点が、必要になります。
対策として、親会社から役員と管理職を送り込み、開発や製造のタスクの見直しをしたとしても、現従業員からすると今まで以上に遠い存在で厳しい監督者が来る訳ですから、新しい運営方法に、組織や従業員が耐えられない恐れがあります。
管理職全員を親会社へ出向させて、抜本的なマネジメント対策が必要かも知れません。不正の温床は「この程度なら」「遅れる位なら」「できないよりマシ」という考え方に、流れやすい職場環境になっているからです。当該企業は、内部通報があると、犯人捜しに奔走するという報道もあります。良くない報道が伝わりますが、どこまで真実なのかを見極める必要があります。
致命傷な事件が発生すると、解決策を考えるにあたり、相当な覚悟が必要です。不正がない製品が少ない企業は初めてなので、行く末について、見守りたいと思います。もう少し手前で未然に防げなかったのか、倫理観を持ち出して、対処できなかったのかと悔やまれます。



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