国内製造業における製品不正や認可不正に関する報道が、絶えません。企業の多くが、何らかの製品不正や認可に関わる不正を行っていると誤解してしまいそうです。本日は、製品や認可に関する不正問題について、考えてみます。
製造業は、幾つもの事業部から形成されるカンパニー制度に近い組織を持っています。カンパニー制度の弱点は、カンパニー間における横串機能がない、もしくは機能しないことです。
カンパニー間の人事異動は、ほぼありません。定期的にカンパニー間異動があれば、異動先で通報することが可能になります。異動がなければ、上司や同僚の悪事を通報すれば、その仕返しを自身の評価で受けることになります。それゆえ、自ずとカンパニーの暗黙ルールに従わざるを得なくなります。
加えて、カンパニー間における製造工程の共有や、技術供与が乏しいことです。カンパニー内には、コンプラ部署、検査部署がありますが、製造工程や技術には、守秘義務を伴うものが多く、コンプラ部署や検査部署であっても、知り得ないからです。
本社部門に監査部がありますが、監査部は各カンパニー出身者毎に監査グループを分けていて、自分たちの出身カンパニーに対して監査を行います。自身の出身母体ですから、小さな不正を見逃すことは、十分に考えられます。
カンパニー内のコンプラ部署と検査部署が、監査部と同じ機能と役割を持ち、カンパニー間の定期異動があれば、少なくとも長期間に亘って不正が継続することは、避けられるかも知れません。見えない部分を見えるようにする、不正を通報することが評価に繋がるなどの仕組みも、効果があるかも知れません。通報しやすい環境作りや実効性あるけん制組織の構築が、求められる姿ではないかと思う次第です。



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