企業の事業活動の目的が大切なことは、言うまでもありません。なぜ行うのか、どのような効果が期待できるかを理解することで、理解が進みます。ところが、実際の事業活動の目標が、目的と微妙にズレていて、目標を達成すれば、目的を果たすと勘違いすることがあるそうです。本日は、目的と目標について、考えてみます。
例を挙げると、目的は、お客様の満足度を高め、信頼を勝ち取ることです。具体的な事象としては、ご不満の声や顧客対応ミスを限りなくゼロに近づけることです。ところが、その為に行う取組みや活動が、目的と異なる指標や目標数値を設定してしまい、実態としては、指標や目標数値の達成度を競う活動になることです。
このような目的と目標のズレは、どこの企業にも大なり小なりあるそうです。そのズレを埋めるのが、担当役員とマネージャーの役割です。活動を行う主体となる人や組織に対して、直接指示を与えるのがマネージャー、マネージャーの運営を正しい方向へ導くのが担当役員です。
保険業界においても、お客様満足度を高め、適正な業務運営に資することが目的なのに、実際は、ツールやシステムの活用件数や、商品の販売件数が目標になっている事象があります。この誤りに気づくことができないまま進めてしまうと、いつの間にか目標の達成率に応じて賞を与えたり、昇進の基準になったりします。
このような事象を防ぐのは、容易ではないようです。なぜなら、本社部門に誤りを指摘する部署がない限り、防ぎようがないからです。コンプライアンス担当部署の業務は、第一線と本社担当部署の両方に太いパイプを持つ部署なので、そういう活動に適していると思います。具体的な事象を示して、目的と目標のズレを把握して、修正する仕組みを作ることが、解決手段になります。
目的と目標にズレがあると、商習慣や社内では当たり前としている事業活動が、実は、社会規範から外れている、社会一般から見ると非常識であることも、あります。お客様は社会の信頼を失う事件に発展する前に、目的と目標のズレを見つけ出すことは、企業を取り巻くリスク回避活動になります。



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