多数乗合代理店

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保険代理店の中には、生命保険10数社、損害保険10数社との取引がある代理店があります。特に、生命保険を中心に販売する代理店には、その傾向が強いようです。本日は、多数の保険会社と取引することについて、考えてみます。

保険会社の商品は認可制で大数の法則が働く商品で、基礎数値が開示されている種目もあります。それゆえ、同じ商品が必要と考えれば、先行他社と同じ補償商品を開発できます。また、生損保共に普通約款の内容は、概ね同じ補償です。

この結果、生保では死亡・後遺障害・入院・手術・通院・実額払い、損保では火災・傷害・賠償・動産・費用・自動車・自賠責の普通保険約款では、各社の商品や保険料には、大きな違いはないと認識しています。

その前提で考えると、10数社の保険会社と取引するのは、少し違和感を感じます。顧客が自由に商品を選べる環境が必要としても、大差ない商品の中から、複数の商品を組み合わせて加入する、もしくは一つの商品を選択して加入するだけの知見が、本当に代理店とお客様にあるのか疑問に感じるからです。

保険業法において、複数の保険会社と取引する代理店には、比較推奨販売義務が課されています。この義務は、主に推奨する保険会社を定めて説明する方式と、顧客の意向に沿って各社の商品を比較して説明する、もしくは絞り込む方式があり、代理店がいずれかを選択します。10数社と取引する代理店は、後者は選択しません。

主に推奨する保険会社を定めて説明する方式を適用すると、推奨した保険会社商品の販売量が増えることは、容易に推測できます。プロの募集人が推奨するのですから、顧客がそれ以上の意向がない限り、推奨した商品を選択すると思われます。

とすれば、推奨しない保険会社に加入するのは、恐らく少数の顧客でしょう。そうなると、当然ながら代理店の募集人は10数社の商品を絶えず最新の状態で覚えておくことは難しいので、推奨しない保険会社の商品に疎くなるでしょう。

その結果、顧客本位の原則2:顧客の最善の利益の追求はできているとしても、原則5:重要な情報の分かりやすい提供や、原則6:顧客にふさわしいサービスの提供について、適合できるでしょうか。

今まさに、保険会社と代理店の関係を見直す動きが盛んに進められています。これを契機に、保有契約の少ない保険会社との取引を見直し、取引会社を減らすことで、商品やサービスの比較力や推奨根拠に対して、強い態勢を構築することは、考え得る対策だと思います。

保有契約の管理は当該保険会社にお任せし、僅かな手数料を放棄することになります。しかし、業界が目指している新しい形を踏まえると、取引会社は多くとも生保、損保共に3、4社程度が、募集人が習得できる商品やサービスの知識量、推奨に必要な知見の限界ではないでしょうか。

昨今の代理店経営者が、販売現場環境や自社能力を定期的に把握して、事業活動の形や、自社の強みを育てる仕組みを継続的に実施、見直しすることが、生き残る近道だと思います。少子化と高齢化の直接的な影響を受けて、益々厳しい販売環境になることを考えると、自社の組織強化や販売手法の見直しを急ぐことが求められます。

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