業務品質レベルが上がらない理由

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自社の業務品質を高めたい――そう願う保険代理店の経営者は多いと思います。 しかし、実際には「なかなか品質が上がらない」「改善が定着しない」と感じている方も少なくないのではないでしょうか。 今回は、業務品質レベルが上がらない背景について、私なりの視点で整理してみたいと思います。

<品質向上が“続かない”構造的な背景>
業務品質の向上には、制度や教育、仕組みづくりが欠かせません。 しかし、品質が上がらない、あるいは一時的に上がっても“続かない”背景には、代理店の人材構成や運用の前提に起因する構造的な課題があると感じます。
 〇 新卒採用が少なく、他社で勤務経験のある募集人を中途採用するケースが主流
 〇 保有顧客のある募集人は、前職のスタイルや判断基準を変えない
 〇 「自社のスタイルに合わせてほしい」が、強く求めると離職につながる懸念がある
 〇 法令遵守や記録の徹底が現場任せになりがちで、制度が“紙上のルール”になる
これらは、経営者の手腕を否定するものではなく、代理店という業態の成り立ちに根ざした課題でもあります。

<“品質の定義”を見直す>
品質向上の第一歩は、「何をもって品質とするか」を明確にすることです。
 〇 顧客対応の丁寧さ
 〇 判断の一貫性
 〇 記録の正確性
 〇 苦情対応の迅速さ
 〇 社内での情報共有の仕組み
これらを、代理店としてどう位置づけるか。 そして、現場の募集人や拠点責任者が「自分の業務が品質にどう繋がっているか」を理解できるようにすることが、制度設計の出発点になります。

<“制度化”と“教育”の工夫>
品質を属人的なものにしないためには、制度化と教育の工夫が必要です。
 〇 判断基準や対応フローを明文化する
 〇 記録様式や報告ルートを整える
 〇 実際の事例を使った教育を行う
 〇 拠点責任者が制度の“伝え手”として機能するよう支援する
 〇 教育後のフォローアップを行い、定着を確認する
制度は、現場で使われて初めて意味を持ちます。 そのためには、“使える制度”として育てる工夫が欠かせません。

<“改善の流れ”をつくる>
品質向上には、改善の流れが必要です。 苦情やトラブル、現場の気づきを拾い上げ、制度や教育に反映する仕組みがあることで、品質は少しずつ、確実に育っていきます。
 〇 気づきの記録と共有
 〇 提案の整理と検討
 〇 制度への反映と社内共有
 〇 実行後の振り返りと再評価
この流れがあることで、品質向上は“継続的な取組み”になります。

<まとめ>
保険代理店の業務品質レベルが上がらない背景には、構造的な課題があります。 中途採用中心の人材構成、属人的な募集スタイル、法令遵守の現場任せ――これらを前提にしたうえで、品質の定義を見直し、制度化と教育を工夫し、改善の流れを整えることで、品質は“個人の力量”から“組織の力”へと育ちます。次の機会には、保険会社との関係性を見直す視点から、品質向上の支援体制について、考えてみたいと思います。 本日も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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