「NOASOBI」をテーマにしたレジャー関連企業の取締役が「HIASOBI」しました。エネルギー産業の取締役はクラブ飲みの一線を越えた下劣なエネルギーを放出しました。和菓子屋の取締役は自動車事故直後に被害者に暴言を吐き器物破損をしました。本日は、取締役による不祥事について考えてみます。
企業経営者自らが不祥事を起こした場合、「信頼とブランド価値」の二つを失います。そこで、経営者やコンプライアンス担当役員は、取締役に不祥事を起こさせないように未然防止策を講じ、万が一、不祥事が発生した(報道された)場合に備えて、対応を準備しておかねば、なりません。
未然防止策として、一般的には役員向けコンプライアンス研修の実施が考えられます。役員は肩書に弱い傾向があるので、弁護士を講師にして講演形式にて実施すると喜ばれます。しかし、法律解釈や過去の判例をベースに法令違反事例が中心になるので、本研修には不向きのようです。
そこで、代表取締役、外部講師、コンプライアンス担当役員を講師にして、三部構成の研修をお薦めします。代表取締役は、研修の目的と背景、役員に求める姿について説明します。外部講師は、企業がステークホルダーから求められている姿、その背景、必要な知識と行動方針など、一般論を交えながら説明します。最後に、担当役員が、自社で起こり得る可能性がある事象や発生した際の対応について説明します。どこかのパートで、グループディスカッションを入れると効果が高まります。
役員には研修は不要と言われるかも知れませんが、役員には世間の常識が非常識に見えたり、社内の地位が外部にも通用すると錯覚することがあります。従業員は外部の目を気にする必要はありませんが、役員はニュースソースになり得るということを肌身で感じて、理解しておく必要があります。
当センターでは、不祥事が発生後の対応を想定して準備するご支援の他に、役員向け研修に関するご相談も承っています。コンプライアンスに関することは、なかなか目に見えにくく、対策も講じにくいものです。そういった場合の社外相談役として、ご活用いただけます。
ご注意いただきたい点があります。「不祥事を起こした当人から代表取締役を退任したい旨の申し出があり受理した」と発表する企業がありますが、これは止めるべきです。強引に火消ししたと外部から見られることから、企業価値を高めることには至らず、企業としての誠実さが感じられないからです。「本人申し出に基づき事実関係を調査中であるが、業務の執行ができる状態にないことから、事実解明後に役員規程に基づき対応を行うことを前提にして、退任を受理することとした」と発表する方が、企業価値を高め、ステークホルダーに対して誠実だと思います。



コメント