営業推進の罠

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大手クレジットカード会社が、提携先カード取扱会社に対し、自社の決済ネットワークシステムへの乗り換えを強要した疑いが強まったとして、公正取引委員会は、独占禁止法違反容疑で立ち入り検査した旨、報道がありました。営業推進がもたらす罠について、考えてみます。

大手クレジットカード会社は、カード取扱会社が自社の決済システムへの乗り換えに従わない場合、料率を引き上げると圧力をかけた疑いが持たれているそうです。

カード取扱会社に対し、決済システムの乗り換えを提案するのは、大手クレジットカード会社の事業活動の一つです。一方、カード決済手数料の料率は、別の基準で定めることが商習慣になっています。この二つを同じ担当社員が決定できる環境があることが、この事件の原因ではないでしょうか。

人員削減や事業の効率化は、企業が事業活動を行う上で、大切な要素です。しかし、利益が相反する事業活動や、独占禁止法、下請法などの取引企業に対する法令を考慮して、事業の効率化を行っている訳では、ありません。

どんな企業にも、営業推進には今回のような罠があります。事業活動においては、天使の隣にいる悪魔がささやくことが多く、複数の業務を通じて、悪魔の罠に陥るリスクは高いと考えておくことが必要です。

監査や点検という業務は、その為にあります。監査や点検の部署は、自社を取り巻く法令リスクや営業推進リスクについて、考える必要があります。誰か一人に担わせるのではなく、チームで担うことで、リスクに対して気づきの機会が増えます。そういう環境作りが、強く正しいことをする企業にしていきます。

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