保険会社の営業部門にいた頃、自動車販売店のトップセールスから多くを学びました。本日は、トップセールスから学んだことについて、お話します。
彼らは、来店したお客様に挨拶した後、直ぐに実車に近寄らず、商談ブースで長い間、話をしています。候補のクルマがどれか、誰が運転して、どんな用途で使いたいのか、欲しいと思った理由など、伺います。お客様にクルマを使った生活やレジャーなどの夢について、お話いただきます。その最後に、欲しいと思っているのに、直ぐに買えない理由を全て聞き出します。
その後、ショールームにあるクルマを見せますが、まずは外観を360度回って、説明します。次に、運転席に座ってもらって、ハンドル、メーター、内装などを実体験してもらいます。この時、同伴しているご家族にも助手席や後部座席に座ってもらって、先ほどお話いただいた生活やレジャーなどの夢を叶えた空間を作ります。
そのうえで、商談ブースに戻り、今度はオプションなどのご要望を確認します。その時、使用用途や欲しいと思った理由などから、期待しているオプションを全て説明して見積書に入れます。入力した後、見積書を作成してお客様に判断を仰ぎます。
次に、先に聞いていた買えない理由を一緒に考えて、買える為に妥協できる点を相談します。ここまで進むと、お客様側には、買わないという選択肢はなくなり、買える為に妥協できる点にポイントが集中します。お客様がオプションを削除しようとする際は、慎重に対応します。クルマに乗って楽しむ姿を夢に見せているので、その為に必要なオプションは、値段に関係なく、追加する考え方のようです。
彼らは、お客様にクルマを見せているのではなく、クルマを使ってどうしたいかを疑似体験させることで、使う側に夢を見せています。そのうえで、買えない理由を一つ一つ排除、軽減していき、妥協できる範囲か、確認しながら商談を進めて、結論に導きます。
私が勤めていた保険会社の商品は、目に見えない商品です。自動車のトップセールスから学んだのは、誰が、どのような時に保険を役立たせたいのか、その時はどんな環境下になるのか、お客様が安心できるか、などお客様が保険に求める姿や夢に共感しながら、ご要望の商品や特約を提案することです。
2016年に保険業法が改定になり、情報提供義務と意向把握義務が定められました。お客様が保険にどんな安心と安全を求めているのかを伺い、それに応じた提案を行い、お客様が判断できる環境下にすることが、必要となりました。その結果、代理店内の募集品質を統一化することが、必要になりました。このことに気づいていない代理店主や責任者の方が、まだまだ多いのではないかと思われます。



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