省庁OBが圧力

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省庁OBが、民間企業の社長に就くように圧力をかけたことが、明らかになり、報道されました。本日は、省庁の立場で、考えてみます。

この問題は、省庁OBが、民間企業に転籍した省庁後輩が当該企業を退任するにあたり、後任に省庁からの天下り者を推薦するように要請したことから、始まります。省庁OBが、圧力をかけた原因を調査する必要があります。いわゆる動機です。

不適切な行為には、必ず動機があり、それを叶える機会があります。また、多くの場合は行為者は不適切だと分かって行為に及んでいることから、それを正当化する事象が起こっているはずです。

省庁OBが民間へ再就職した後輩が、その後任の芽を摘んでしまうと、省庁から天下りする候補者の行き先がなくなることを懸念したのであれば、退職してまで省庁の後輩の再就職を応援したいという心意気が、動機になります。

偶然、民間企業を退任する時期が来た後輩がいて、その後輩は省庁時代に同僚や部下などであれば、それが機会にあたります。省庁OBであれば、民間企業の役員人事に対して口出しをしてはならないことは承知していますが、自身は現役でなくOBだからと言う理由で、正当化したと思われます。

上記推測が概ね正しければ、再発防止策は、こんな感じでしょうか。禁止行為と宣言することで動機を絶ち、その教育を行い、実態を定期的に把握して、省庁の人事制度の改革に紐づけるということです。
1.事務次官または相当のトップが、人事を司る業務以外では、省庁の仲間の再就職のあっせんや、それに類似する行為、抜け道と疑われる行為を行わない旨を宣言し、管下のメンバーに徹底する。
2.退官が近くなった年齢層に対して行う「対象者向け研修」において、省庁OBになった以降も、上記1は遵守するよう教育する。
3.天下りと呼ばれる省庁OBを受け入れている民間企業に対して、省庁ならびにそのOBが、企業の役員などの人事に対し、意見や要請がないか、定期的にアンケートを行う。
4.高齢化が進んでいることから、省庁OBとして退官する年齢を引き上げる検討を行う。

最近のコンプライアンスは、法令、組織内ルール、社会規範を遵守することに加え、抜け道を選択しない、際どいケースは決断しないことも、重要なファクターになっています。コンプライアンスは、法令遵守だけでなく、社会から見られた時に、どう映るのかと言う観点で、考えると良いと思います。

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