企業や組織では、時には不適切な事象が発生します。対応マニュアルが作成され、実際に活用している、または作成されているが活用しないで都度考えて対応している企業が多いと伺っています。本日は、不適切な事象への対応について、考えてみます。
不適切な事象が発生した場合に、最初にすべきことは、止血です。発覚後も継続していたケースや、顧客に見えたり接することが可能な状態にあったケースがあると、企業として説明責任を果たす際に、初動誤りと指摘を受ける可能性があります。許容や容認をした企業として、加害行為の教唆と受け止められることがあります。
止血とは、不適切な行為を起こした対象物を特定し、その特性に鑑みて、同じ事象が拡がらないように止める作業です。対象物が人ならば組織の監視下におき、外部との接触を停止させます。製品やサービスの場合には、製造・加工・出荷を停止します。
止血の初動は上記のとおりですが、止血範囲が十分でない可能性があることから、再度止血範囲を拡大する検討を始めます。人であれば、共犯者の有無、原料・製品・半製品であれば、販売取引先を確認します。
取引先には、経緯や理由の説明を求められますが、分かっている範囲内でできるだけ詳細に説明することで、説明責任を果たします。止血の対象者が人の場合は、共犯者が証拠隠滅に動く可能性があるので、注意が必要です。
証拠隠滅させない為には、共犯者と思わしき人物が判明している場合は、調査が終了するまでの間は、フリーズするように指示します。証拠隠滅行為は、就業規則違反になり、罪が加重されることになる旨、説明しておくと良いです。
ニュースリリースが必要な事象の場合、関係先や関係省庁に事前に報告します。報告内容は、発覚の経緯、発生した事象、不適切な事象、現時点で事実として確認している内容、止血した内容、次回報告時期などです。この時点では、発生原因と再発防止策は検討中としても、構いません。
止血に失敗した例としては、小林製薬の紅麴事件(官庁と半製品の取引先への連絡遅れ)、自民党の裏金問題(安倍氏から指摘を受けて停止した後の裏金再開)です。
ここまでは不適切な事象を前提に考えましたが、一般的には、最初は嫌疑がある、恐れがある程度の場合が多く、対応が消極的になりがちです。常に最悪のシナリオを考えて、行動するようにマニュアル化して、教育しておくことが肝要です。



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