損害保険各社でつくる損害保険料率算出機構が、住宅向け火災保険の制度改定を発表しました。水害リスクを市区町村別に5段階で評価し、多発する恐れがある地域ほど保険料を高くするそうです。本日は、水災保険料の見直しについて、考えてみます。
過去10年間で見ると、台風に加えて線状降水帯による河川の氾濫などにより、水災が発生して多くの住宅やインフラに被害を与えています。被害を受けた地区や県は、台風の通り道や線状降水帯の発生しやすい地区です。
それゆえ、住宅向けの火災保険の水災保険料を見直し、県や地区ごとに料率区分を細分化して、リスクに応じた保険料とすることは、理に適っています。しかし、被害を受けた地区は、毎年同じ地域である傾向が強く、保険料の格差は年々広がることが想定できます。
損害保険会社は、具体的な被害地区の保険金支払いデータを持っているので、それを分析して、どこの河川や山林に対策を行えば、被害が小さくなるか、河川工事、災害予防への取組み、工事の優先順位を示すことは、可能です。その分析結果を政府や国土交通省へ提言して、予防や河川工事の予算を付ける手段として使えないでしょうか。
損害保険会社の理念は、被害にあったお客様に迅速に保険金をお届けする、お客様に安心と安全を提供し続けることの両面を持っています。保険金支払いデータの分析を国家予算に反映させることで、お客様に安心と安全を提供し続けることになると思います。
火災保険料は、ここ数年に亘り地震保険料が上がっています。水災保険料も上がる地区では、保険料が占める家計への負担増が顕著になると思われます。事業としては、収益改善の取組みかも知れませんが、その分、お客様の負担が年々増加し続けると、いずれは支払いが困難になるお客様が一定数発生することにも繋がることから、保険料の負担増だけでの解決には、賛成しかねます。



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