Web広告に起用したタレントが、少子化対策の解決策として、高齢者に差別的な発言があったことに対し、否定的なコメントが多く寄せられたことから、広告を取り下げました。本日は、広告の取り下げについて、考えてみます。
当該企業は「過去の発言の中にあった表現が比喩か否かは別として、過度な表現があると判断しました」「WEB広告に対して、様々なご意見を頂戴したため、総合的に判断し、一部投稿を取り下げることにしました」とコメントしたそうです。
起用したタレントが過去に発言した内容に、高齢者に安楽死を求める趣旨が含まれていました。広告を見たユーザーが、SNSを通じて多数の批判コメントを受け、不買運動に繋がりそうなことから、取り下げに至ったものです。
当該企業のホームページには、以下のパーパスを掲載しています。
<前略>企業としての成長と、社会が抱える課題の解決を同時に実現するためには、事業活動そのものが社会課題解決となるCSV(Creating Shared Value)を実践することが重要です。私たちは、このCSVを経営の根幹に据えて、社会に良いインパクトをもたらし、持続的な成長の実現を目指しています。
今回の取り下げ判断は、当該企業のCSV経営に反するからと思われます。CSV経営とは、社会課題の解決と、企業の利益追求を両立させる経営方式。高齢者に安楽死や集団自決を求めるのは、倫理観に欠けるうえに、CSV経営の理念と異なります。
ステークホルダーから指摘を受けた時、企業は、自社の理念やパーパスに照らして判断すべきと思います。ホームページに掲載している内容や考え方と反すると説明すれば、多くの言葉を使わずとも説明責任が果たせます。
人間誰しも、誤った発言や不適切な発言をしてしまうことがあるものです。指摘を受けたことを契機に、過去の発言の誤りや不適切さを認め謝罪することも、必要な要素です。指摘事項を認め、正しい方向へ修正すれば、社会は見直すでしょう。それが出来ない人や企業が、社会から排除されるのでは、ないでしょうか。



コメント