生保の情報漏えい

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損保大手4社による情報漏えい事件を踏まえて、金融庁が生保大手社にも同様な事象につき、報告を求めていました。その結果、大手2社において18万件、11万件の個人情報漏えいが発覚しました。本日は、本件につき、コメントします。

生保2社による調査によると、子会社代理店へ出向した社員らが、他社契約情報を情報漏えいさせたものです。子会社の経営管理が目的であり、現時点では他社への流出や営業活動への利用は、確認されていないとのことでした。

疑問に感じる点があります。子会社の経営管理という趣旨は、乗合保険会社の契約件数や契約保険料によるシェアを把握することだと思われます。とすれば、自社の子会社なのですから、親会社が指示をして、各社のシェアの報告を求めれば済んだはずです。それをわざわざ、契約者情報を取得して、親会社がエクセルなどの計算機能を使って、各社のシェアを計算していたということになります。

普通に考えれば、おかしなことに気づくはずです。親会社が子会社に経営管理数値の報告を求めるのは、至極当然の業務です。子会社の経営管理の為に他社契約情報を取得したというのが正しいならば、経営管理数値を把握する人材や能力がないことになります。

では、損保の出向者は、どうなのか?と考えてみますと、損保の出向者に、保険会社のシェアを計算できる人材は、恐らくいないと思われます。だからと言って、生損保共に、契約者情報を抜き出して、かなり重いファイルを出向元へ提供(正確には掲示板へ貼付)したというのは、いかにも稚拙な方法だったと感じます。

本来であれば、当該代理店に対して、経営管理の指導を称して、各社のシェアを計算して管理するアプリなりツールを作成するように依頼すれば良かったと思われます。グループ会社でなければ「お願い」ですが、グループ会社であれば「指示」です。

これを機に、代理店側も、どんぶり勘定の経営管理を脱して、各保険会社の契約件数や保険料のシェアを把握するくらいは、しておくべきではないかと思う次第です。代理店側には、既にそうした把握はできる環境があり、その内容を取引保険会社へ開示できないのであれば、仕方がないのかも知れませんが、代理店手数料の指標において、代理店の総挙績や自社のシェアが含まれている以上、開示しないと正しい代理店手数料がもらえないので、代理店側にも一定のメリットがあると思われますが、いかがでしょうか。

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