営業職の強盗殺人未遂事件

bonfire photo

営業職の従業員が、顧客の住宅から現金を奪って放火し、殺害しようとしたとして逮捕されました。一か月が経過したことから、当該証券会社が謝罪会見を行いました。本日は、お客様を訪問する営業職による不祥事について、考えてみます。

本件報道にて、知りたい事実が公表されていないことに違和感がありました。犯人が、当該顧客から現金を奪うに至った経緯、現金が欲しかった理由について、明らかになっていません。事件の発端部分の解明が、最も重要なポイントです。

次に、現金を奪う際、奥様に睡眠作用のある薬物を飲ませた行為につき、睡眠作用が必要となった経緯と理由についても、明らかにすべきでした。事件の発展に繋がった要因の解明が、犯人の動機と行動の変化を表すからです。

最後に、放火に至った経緯と理由についても、明らかにすべきです。睡眠作用のある薬物を飲まされた後に放火されれば、死に至ることが確実です。事件の本質に関わる事態の大きな変化ですから、最も重要な犯行心理です。

また、当該証券会社の対応が後手に回った経緯と理由についても、一定程度説明する責任があります。放火のあった日に当該顧客を訪問した旨の報告があった際、報告を受けた上司の対応について、明らかにすべきです。お客様を心配したことに加え、放火犯人を見たり挙動不審な人を見かけなかったか等、真にお客様に寄り添った対応ができなかったなら、その旨の説明はすべきではないでしょうか。

更に、数日後に放火の疑いをかけられていると従業員から電話があり、その場で警察に代わって、裁判所から令状が出ており、従業員自宅を確認していると告げられた際、上司はどう考えたのかについても、説明すべきと思われます。

その日の夜に、金を盗んだことを告げられて、2日後に懲戒解雇になっています。逮捕が2か月近く先になので、それまでは当該証券会社は、従業員に対して、前述した経緯や理由などを聞き出すだけの猶予期間があったはずです。それにも関わらず、先に懲戒解雇を行ったことで、正しい経緯や理由は警察任せとなってしまいました。

たとえ、逮捕前につき真実を隠したとしても、従業員の立場であれば、上司もしくは本社担当部署が、詰問して真実と背景、心の動きなどを掴めたはずです。この調査を怠ったことが、当該証券会社が社会から信頼を失う決定的な要素になりました。

他社の話だからと聞き流さず、管下従業員等が、事件に巻き込まれていると感じたら、どう対処すべきかという観点で、考えておくことこそ、企業の信頼が失われる事件や事故が起きた際、最小限のダメージで済むことに繋がります。

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