有名大学のスポーツ部監督が、入部予定の奨学生の保護者から、入学金などの名目で現金をだまし取ったとして、警視庁に詐欺容疑で逮捕されました。本日は、悪事に至る人の兆候について、考えてみます。
スポーツ成績が認められ、大学から推薦を受けて奨学生となった新入生の保護者にとって、スポーツ部の監督は大学に奨学生として推薦してくれた大切な人物です。報道によると、この力関係を逆手に取り、学費を不正に徴収して詐取していた模様です。
このような悪事を働く人には、必ずその兆候があります。今回の報道から分かる兆候は、以下のとおりです。
〇 監督は、練習にも顔を出さない雲の上の存在で、現役部員と接触が少ない。
〇 コーチ陣に、車で送迎をさせていた。
〇 監督が車で会場を出るときは、コーチ陣が揃ってお見送りしていた。
〇 コーチ陣は、監督に逆らえない雰囲気があった。
〇 試合で負けた責任として、コーチを丸刈りにしたことがあった。
〇 近隣の飲食店にて、監督とコーチの態度が悪く、出入り禁止になった。
要すれば、監督の地位や名誉を勘違いして、第一線との接触が少なくなり、部下への態度にパワハラ傾向があり、飲食店でもカスハラをはたらくという兆候です。不正に得た学費を私的に流用していれば、高級品の購入、所有なども見られるかも知れません。
保護者へ依頼する文書をコーチに作成、送付させていたこと、振込先が当該スポーツ部名義の口座であることから、コーチも共犯とみなされる可能性があります。もう少しコーチの倫理観が高かったら、このような大事件には至らなかったでしょう。
事業活動を営む企業において、このような不正を見つけ出すのは難しいかも知れませんが、上記の兆候、特にハラスメントの兆候がある人物を特定し、その言動や部下への圧力が強いなどの場合も、注意を払うことは可能でしょう。注意を払うは、不正が起こりやすい環境がないかという観点で、観察するという趣旨です。
特に、ハラスメント行為を放置すると、大事件に発展するとことを理解しておくことが必要です。ハラスメント研修を行う際、受講者に理解を促すことも、早期発見の観点で必要と思います。
組織の大小を問わず、マネージャーが事業活動上の課題に加えて、事業活動を支える文化などの見えない課題についても考えるように仕向けることで、探す、気付く態勢を構築すると良いでしょう。



コメント