前回、コンプライアンス経営では、制度を動かしてコンプライアンス対応の実効性を評価する風土を持つことが必要である旨、お伝えしました。そこで本日は、制度が実際に機能しているかを見極める仕組み=運用のセルフチェックについて、ご説明します。自己点検や自主監査などと呼ぶ企業もあるようです。
<なぜセルフチェックが必要なのか?>
制度を作る側は、制度を整えたことで「もう大丈夫」と思いがちです。一方、時間が経つにつれ、現場では「あるけど使われていない」「あるけど知られていない」状態になりがちです。これを防ぐために、定期的なセルフチェックを活用することを推奨します。
セルフチェックは、制度と現場の間にある“ズレ”を見つけるためのツールです。「この制度、使いづらくないですか?」「現場ではどう感じていますか?」という問いかけが、現場における改善を検討する契機になります。セルフチェックを行うことで定期的に振り返り、改善し、現場とすり合わせることで、制度が育つと共に、事業活動の信頼を守るための“メンテナンス”と位置付けられます。
<制度運用のセルフチェックリスト(例)>
以下は、制度運用の実効性を確認するためのチェック項目です。 読者の皆さんの組織でも、ぜひ照らし合わせてみてください。
1.制度の認知と理解
〇 新人研修や定期研修で制度が扱われている
〇 制度の存在を全社員が知っている
〇 制度の目的や使い方が説明されている
2.実際の運用状況
〇 対応の期限や責任者が明確になっている
〇 過去1年以内に制度が活用された事例がある
〇 通報や相談があった際の対応記録が残っている
3.現場との接続
〇 制度に関する“声”が集まる場(アンケート、対話など)がある
〇 制度が現場の実態に合っている(使いやすさ、言葉のわかりやすさ)
〇 制度の改善提案が現場から上がる仕組みがある
4.評価と改善
〇 制度を動かした部署や担当者が評価されている
〇 制度の運用状況が定期的に振り返られている
〇 改善点が明文化され、次回に活かされている
<まとめ>
制度は“ある”だけでは、事業活動の信頼を守れません。“動いているか”“届いているか”“育っているか”を見つめ直すことで、信頼は守られます。こうした視点を持ち、制度設計や運用支援を通じて、お客様の「健全な組織づくり」を支えることが、これからの経営者の役割だと感じています。小さな制度の見直しや、ひとつの対話からでも、組織は変わり始めます。制度があることに安心せず、制度が“育っているか”を問い続けること──それが、信頼される組織の共通点です。最後までお読みいただき、ありがとうございました。



コメント