委託業務の制限がお客様本位?

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最近、一部の保険会社が、保険会社が定めた基礎項目を満たせない代理店に対しては、委託業務のうち、募集と契約保全を行わせず、直営代理店などに担わせる制度を検討していると聞きます。その結果、代理店は本来担うべき業務を制限されます。この制度に強い違和感を覚えます。理由は明確です。お客様本位の業務運営を区分化して2社で分担することで、本来の趣旨から外れてしまうからです。損保契約には、共同保険という2以上の代理店で一つの契約を担当する仕組みがありますが、これは契約者側の意向による制度です。今回の制度には、お客様の意向は、入る余地がなく、事実上は事後承諾だからです。

1.募集と契約保全を委託削除するのが、お客様本位?
募集や契約保全は、代理店にとって、お客様との信頼関係の中心です。これは、単なる“作業”ではなく、お客様の人生や取り巻く環境に寄り添い、長期的な関係を築くための重要な接点です。その業務を接点のなかった直営代理店などが対応できるでしょうか。お客様視点で考えると、担当者が変わる不安、関係性の分断、近くの代理店が遠くの保険会社に変わるという事態が起きます。これが、お客様本位の業務運営と言い切れるのか、疑問に感じます。

2.保険会社が代理店との委託解除ができない理由
保険会社が永年に亘る代理店委託を解除するには、法令に抵触しないだけの相当の理由が必要であり、紛争に発展した場合には司法の判断に委ねます。それゆえ、全部解除ができないと判断したが故に、一部返上という代替案をひねり出したと思われます。今回の制度は、実質的には保有契約の主導権を奪うに近い制度です。代理店との信頼関係、お客様に対する不安を助長する制度と言わざるを得ません。

3.本来あるべき姿は“業務品質の底上げ”
お客様本位の業務運営を徹底する為に、本来あるべき姿は「業務品質の底上げ」です。しかし、一部業務を外すという手法は、代理店の育成を放棄しています。今の時代、業務品質の統一は AI・デジタル化で十分に実現できます。
説明の順番、比較推奨の方法、記録の残し方、接点管理のルール、保全手続きの流れなどは、システム化、デジタル化によって標準化できる領域です。それゆえ、一部業務を返上させるのではなく、デジタル化により業務品質を揃えるべきです。

4.デジタル化に対応出来ない募集人問題
ここが今回のテーマの核心です。デジタル化や標準化は、代理店にとって“時代の必須要件”です。しかし、現実には、デジタルが苦手、標準化に従わない、記録を残せない、説明品質が揃わない募集人が、一定数存在します。
では、どうすべきか。答えは明確です。代理店経営者が募集人単位で改善・指導・排除すべきです。デジタル化に適応できない、標準化に従えない、お客様本位の業務運営ができない募集人を残すことこそ、代理店全体の品質を下げる最大のリスクです。代理店経営者には、募集人の品質管理という“経営判断”が求められる時代になっています。最終的には、代理店経営者が「お客様本位の業務運営に本気で向き合う覚悟があるか」を自ら判断することが求められる時代になっているのだと思います。

<まとめ>
AI時代の代理店制度は、育てながら時代に付いて来れない人を排除していく時代です。本来あるべき方向性は、AI・デジタル化で業務品質を統一し、代理店を“育成”し、募集人単位で品質を揃えた結果、お客様本位の業務運営を守ることです。品質が揃えられなければ、代理店経営者に業務品質が足りない募集人を排除することを求めるべきです。
お客様本位の業務運営の為に、募集と契約保全を完全にデジタル化することにより、業務品質を統一・向上させ、評価基準の項目をクリアさせるように教育・管理・指導できると思われます。
私は、「業務を奪われて残った代理店」のお客様にはなりたくないです。「業務品質を揃え、価値を高める代理店」のお客様になりたいと思います。本日も、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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