宇宙開発事業者は、6年前に実施された「長期閉鎖環境(宇宙居住環境模擬)におけるストレス蓄積評価に関する研究」で研究データの捏造や改竄にあたる行為があったことを発表しました。具体的には、データのねつ造、改ざん、心理的な面談を評価する方法が確立されていない、データの記入漏れと計算ミス、研究ノートがほとんど作成されていない、研究機関長の実施決定手続きがない、被検者に調査内容の変更を確認する客観的な記録がないなどです。本日は、この問題について、思うところを書いています。
報道では、3名の責任者の処分を検討しており、うち1名は宇宙飛行士だが飛行士としての資質に問題ないと、先に結論付けています。また、研究費の半分が科学研究助成事業であることや、宇宙開発に協力した被験者に対し、倫理的な責任があることを述べています。
2017年末に最初の不適切な事象が発見されてから、次々に不正行為が見つかり、2019年に研究を中止して、2020年に合同の調査委員会を立ち上げ、2021年に第三者からの調査を受けた上で、2022年に厚労省と文科省に報告しています。
この問題の本質は、研究の進め方、権限の明確化、進捗確認と方針変更の決め方など、組織としての体制づくりがないまま研究を開始したことです。加えて、不適正な事象が発覚して、研究データのねつ造や改ざんが分かった時点で、国に報告していないと言う緊急時体制の甘さにあります。
通常の組織ならば、責任者が3名いれば、トップ1名と副2名の体制にして、不正に限らず異常事象が起こった際の報告体制を整備しているはずです。また、調査の過程や経過の公表もなく、研究責任者としての資質がなくとも、宇宙飛行士としての資質に問題がないと考えていることは、結論ありきです。
不祥事が起こったら、自らの組織を守ろうとせずに、全容の解明と社会への公表を優先し、原因が分かる都度、再発防止策を策定して実施し、一日も早く信頼回復に努めることがコンプライアンスの原点です。社会に対して、原因と再発防止策を公表して、信頼回復に努めると宣言して欲しいです。



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