不祥事や不正行為があると、企業側は、再発防止策を求められます。しかし、中にはおざなりの再発防止策と言わんばかりの対策を講じる企業があるようです。本日は、再発防止策について、考えてみます。
金員詐取や詐欺行為など重大事件が発生した場合、当該部署、関連組織、全社の単位で、再発防止策として従業員教育を行う企業があります。「重大事件と受け止め、従業員に対して、金員詐取や詐欺行為は重大な法令違反であることを再徹底した。」は、おざなりの再発防止策では、ありませんか。
金員詐取や詐欺行為が法令違反であることを知らない、または軽んじている人は、一般企業であれば、1人もいないでしょう。更衣室やオフィスで盗難、什器備品の紛失、経費の不正利用が、常態化している企業であれば、上記の再徹底が必要だと思われますが、そんな企業ではないはずです。
現実は、発生した事象は、一部の不心得者による犯罪行為です。その場合、もう少し発生原因を深く追求してみる必要があります。
例えば、不正行為者が金員詐取や詐欺行為の兆候の有無、同僚や、売上報告や書類提出を受けた管理職、業務をサポートする従業員が、おかしいと気づく機会の有無です。一人でもおかしいと気づいていれば、周囲に相談したり、上司に報告するなど、社内で声を出す機会は、あったのでしょうか。
不正行為や犯罪行為は、企業の業務プロセスにおいて、どこかで異常な事象を起こすものです。それを見つけるのが、発生原因分析の役割です。社内エラーやアラートの仕組みがあり、実際に発動していたが、金員詐取や詐欺行為とは思わず、追及する意識が足りなかったのでは、ないでしょうか。
仕組みや機能、機会があって、それを怠ったり、機能しなかったとしても、当該従業員は意図的な隠ぺいではなく、当事者でもないことから、責任は、ありません。事実確認を行った上司が、当該従業員を責めてしまうと、ハラスメント問題が起きるリスクがあるので要注意です。
再発防止策で大切なことは、不正な行為を見つける仕組みや環境が整っていたのかを深く考えてみることです。仮に見つけられなくとも、おかしいと感じる能力やそれを周囲に伝える環境が整っていれば、少なくとも、これ以上継続できないと、不正行為者に思い止まらせる効果があります。
当センターでは、不祥事、不正行為、不適切な事象について、発生原因分析や再発防止策の策定支援も行っています。保険会社の本社で、不祥事の担当、官庁への報告折衝、再発防止策の策定などのキャリアの知見を生かして、一緒に考える際のアドバイザーになります。貴社内の秘密は厳守いたしますので、ご安心ください。



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