国土交通省が自動車メーカー各社に調査を求めた結果、5社で不適切事案(型式不正など)があったことが判明した旨、報道されました。生産中の車種も含まれているそうです。本日は、この問題の根深さについて、考えてみます。
自動車メーカーは、大量生産を可能にする為に、型式指定という作業を行い、国土交通省へ申請します。その際、申請を得る為に、国が定めた基準と異なる方法で試験を実施していた模様です。
一般的には、外観をデザインし、エンジンや電子機器の性能を確保したうえで、試験車両を製造し、型式指定の為の試験を繰り返し行ってデータを積み重ね、申請内容が正しいことを前提にして、国土交通省へ申請を行います。
使う側から見ると、燃費や運転性能が仕様書に虚偽数値になっていて、自分で検証できないので、騙され続けることになります。
仮に、安全停止装置において、虚偽の安全性が申請されていれば、高齢者によるブレーキの踏み誤り事故であっても、そもそも安全停止装置が機能しない環境下だったかも知れません。そうであれば、交通事故裁判の判例や自動車保険事故の過失割合にまで関わって来る重要な問題です。そうでないことを願うばかりです。
原因は、これから究明されることと思います。外観デザイン、エンジン、ブレーキ、各種電子機器などの性能のうち、一つが型式申請を満たさない状況の場合、全ての製造過程や工場生産ラインの確保や新車発売日が遅れます。遅れを許す文化や風土が醸成されない限り、再発するかも知れません。そのくらい根深い問題です。
残念なのは、内部通報による発覚ではなく、国土交通省の指示で調査した結果だったことです。他社で同様な事件が報道されている最中でも、自社でもないかと確認することなく、社内であぶりだす文化すらなかったのでしょうか。



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