ファクトチェックの廃止

close up photography of smartphone icons

SNS大手企業が、投稿の真偽を第三者機関が事実検証するファクトチェックの仕組みを自国では廃止すると発表した旨、報道がありました。本日は、ファクトチェックの廃止について、考えてみます。

ファクトチェックは、第三者機関がその機能を有している限りは、偽りの投稿を排除して真実性の高い投稿に限定できます。その結果、社会からの信頼が厚くなり、事業活動の適切性の検証にもなるので、適切で必要な事業活動と思われます。

SNSの投稿は、発信者の意思や意見で発信することから、根拠のない、真実とは異なる意見を発信することができます。ファクトチェックがないと、投稿内容の真偽を閲覧者が自ら調べて真偽を判断する必要があります。真偽を確認しない人は、偽りの情報を信じて行動してしまうこともあり得ます。

報道によると当該企業は、第三者機関が政治的に偏りすぎていて、特に自国で彼らが築き上げた以上の信頼を失ったことが、廃止の理由と述べています。経営者であれば、政治的に偏りすぎた原因と失った信頼の大きさを確認し、その対策を講じます。第三者機関の中に政治的に偏りを持つ人がいれば、構成メンバーの入替を行うなどの対策を講じるでしょう。

ファクトチェックを廃止するという報道だけで判断すると、倫理観を軽んじた改悪の動きに見えます。公平公正で真実性の高いSNSを目指すのであれば、何か新しい対策や施策を講じることでしょう。

時を同じくして、当該国のトップが代わります。新任者は、極端な物言いで驚かせたり、自分の意思に反する者があれば直ぐに排除する傾向にあります。政治手法はディールですが、互いがWinーWinになるディールは好みません。

また新任者は、過去にファクトチェックで自身が損をしたと考えています。自身の意思に反する投稿を掲載した企業に対し、不利な法令を発令すると極端な発言をし、企業に再考させるかも知れません。今回の廃止は、それを見越した対応に見えます。

ファクトチェックを適正に運用できていない実態を確認することなく、権力者の意見に寄り添っていくことには、違和感を感じます。しかし、それが社会の常識であり、社会からの信頼を得ると判断したからこそ、廃止に至ったと考えられます。

この報道を通じて、代表取締役が難しい経営判断を行う場合、広く自由な議論する場がないと、社会の常識を見誤る可能性があります。そのような風土がない企業は、内部統制システムの弱点として課題と捉え、社外取締役や消費者動向に長けている人材を経営陣に加える等の対策を講じると良いと思います。

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