金員詐取対策

hard cash on a briefcase

生命保険各社において、いわゆる営業職員、ライブパートナー、アドバイザーなどの呼称を持つ販売員が、親密な顧客から多額の金員を詐取する不祥事が、多発しています。経済系の週刊誌で特集を組まれるほどです。本日は、その発生原因と再発防止策について、外部の視点で考えてみます。

生命保険会社のニュースリリースを拝読していると、発生原因と再発防止策が、的を得た内容とは思えないものが多い印象を持ちます。恐らく、自社の常識が、社会の非常識となっていることに気付いていないからです。

生命保険業界の非常識な点は、以下のとおりです。
1.新規契約の成約件数を高く評価し過ぎている。(新規件数、手数料、表彰、ボーナス、年俸、昇格、昇進、MDRTと何度も評価する仕組みが永年続いている、保険会社の数字評価は、保有件数、保有保険料、リスク総量なのに、営業現場の評価と異なる)
2.営業所内において、上司からの「えこひいき」が横行している。(営業所長が求める成果を出す人にだけ特別待遇がある)
3.管理職が営業職員の活動を管理しておらず、統制する役割がない、または役割が明確でない。
4.営業職員の初年度退職率が高いまま永年放置され、人材育成方針に課題認識が足りない。
5.営業職員が倫理観のない募集活動を行っても、見て見ぬふりする風土がある。

上記の非常識な点につき、改善する仕組みや取組みを行うことが、再発防止策になると考えています。
1.保有件数と保有保険料の増減で評価、表彰制度の縮小、ボーナス手数料廃止、昇給制度を見直す。
2.完全平等制度の新設。不平等を発見した場合の通報制度の運用。
3.GPSやITを活用した営業活動管理システムの確立、管理職の役割に活動管理、人材育成、平等扱いを追加する。
4.管理職の評価基準に、営業職員の初年度退職率と育成結果を導入する。全店で、一般職員と同じように人材育成方針を見直す。
5.倫理観のない募集活動を発見した場合に、通報する制度とコンプラ表彰制度を新設する。

各項目に沿って考えるとすれば、こんな感じでしょうか。業界の危機感レベルを考えると「やらねばならないこと」と位置づけできるか否かが、本気度が試されていると感じます。契約や解約手続きの仕組みやシステムを改善するのと同時に行うと、効果が高まると思います。

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